ダイヤとは
地球上の天然物質の中で、最大の硬度を誇るダイヤモンド。
鉱物の硬度を表す「モース硬度」では最大の10を示します。
その高潔できらびやかな輝きは、「王者の象徴」とされ、世界中の征服者たちを魅了し続けました。
「ダイヤモンド」という名前は、ギリシア語で「征服されざるもの」「懐かないもの」を意味する、「アダマス」に由来しているのだそうです。
日本名は「金剛石(こんごうせき)」といい、仏経典の「金剛不壊(こんごうふえ)」に由来しています。これは「金属のように硬く、壊れにくい」という意味です。
ダイヤは結晶構造を持つ、炭素の一種。結晶には非常に高い圧力が必要なため、マントル内で形成され、地殻の変動や火山活動などで地上付近にせり上がってきたものが発掘されます。
ひとつのダイヤが形成されるには、数百万年から数千万年もの時間が必要だと考えられているのです。
ダイヤを含む岩石は、主に「キンバーライト」と呼ばれる火成岩の一種ですが、その含有率は極めて低く、数千万分の一程度だといわれているのだそうです。
その中でも、宝石級のものは2%にも満たないほど希少なものなのです。
キンバーライトは5億4200万年前以前の世界的な造山運動によって生成された岩石。
このため、ダイヤの鉱床は極めて限られた、大陸奥地の古い地質が保たれている場所にしか存在しないのです。
ダイヤの輝き
ダイヤ特有の豪奢な輝きが生まれるのは、非常に高い屈折率を持っているためです。外から入った光は、結晶の内部ですべて反射し、きらびやかな輝きとなって放たれます。この輝きには、3つの種類があります。
ひとつは「シンチレーション」と呼ばれるもので、表面反射によるチカチカとしたきらめき。
プリズム効果による虹色の輝きは「ディスパーション」と呼ばれています。
そして、内部に通った光の全反射から生まれる純白の強い輝きは、「ブリリアンシー」と呼ばれます。
この3種類の輝きが合わさりあうことによって、重層的なきらめきが生まれるのです。
ダイヤの飛びぬけた硬さはよく知られていますが、これは「ひっかいたときの傷つきにくさ」を表すもので、欠けにくさ、割れにくさを示したものではありません。
こうした物質の粘り強さを表すには、「靭性(じんせい)」という言葉が使われます。
意外なことに、ダイヤの靭性はクリスタルと同じ程度で、鉱物としてはさほど高いほうではないのです。
瞬時に与えられる大きな衝撃には弱く、ハンマーなどで叩くと粉々に砕け散ってしまうことがあります。