ダイヤの歴史
世界最古のダイヤ
発見されたダイヤは、摂氏600度〜900度という温度帯で形成される非常に高い安定性を持つ「zircon(ジルコン)」という鉱物のその内部に、本当に小さなダイヤモンドの結晶が捉えられています。
ジルコンはとても安定した鉱物で、時間の流れによって鉱物としての化学組成と構造が変化しないので、いつ形成されたのかという年代を正確に特定するのが容易なのだそうです。
今回発見されたジルコンは、「地球が4億歳〜5億歳」だった時期に形成されたものだと判定されたのだそうです。
その鉱物の内部に存在しているダイヤは、もちろんより早い時期に形成されたもの、ということになるわけなのですが、研究者達はそのダイヤが形成された年代を、42億5000万年前と推定しています。
それは非常に興味深い事実を提示します。私達が現在理解しているダイヤの形成の過程は4種類で、「マグマの海の中ではダイヤモンドは決して形成されない」のだそうです。
つまり現在45億歳の地球は、42億5000万年前には既にそれが形成可能な状態まで冷たくなっていた…のかもしれないということです。
もちろん、まだ私達が認識していない何らかの過程によって、それらのダイヤが形成された可能性は存在するそうです。しかしどちらにしても、非常に興味深い発見ということになりますよね。
論文の共著者であるWilde氏は、「それらのダイヤモンドがなぜそこに存在しているのかは、正直いってわからない」というのが現時点での結論だ、と語っているそうです。
地球の歴史としては、地球の初期には活発な火山活動が生じていて、地表は高温の溶岩によって覆われていたことになっているのですが、今回発見されたダイヤの存在は、そのような高温の期間はこれまで考えられていたほど長期間ではなかったのかもしれない、ということを示唆していることになります。
もし冷却がより早い段階で起きたのなら、「生命の誕生」の時期もこれまで考えられていたより早い時期だったのかもしれない、と指摘されていますが、ジルコンの内部に捉えられているダイヤの中の様々なタイプの炭素を分析することによって、実際にその時期に何が起きていたのか、という事実が判明することになるのかもしれないそうです。